ラベンダーの咲く庭 LavandeBleu

日々の食事を記録するついでに雑談しているブログです

雑22

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Anodyneクリアしたのでちょろっとだけ感想文(5200字)

※ネタバレあり

 

 

・前置き〜Anodyneってどんなゲーム?

見た目はFC時代のマザーとかゼルダっぽい、システムは画面スライド型でゼルダに近く、ライフ制のアクション・アドベンチャーゲーム。世界観・設定が「主人公の無意識世界を探索する」という視点を仄めかしていることもあり、『ゆめにっき』を挙げる声も存在する。同じドット絵のゲームでキャラクターに特徴のある『undertale』も思い浮かぶかもしれない。

いずれにせよ、どれが一番似てるともはっきり言えないものの概ねそういうイメージで合ってると思います。PCでやるならsteam(現在セールで50%オフ、500円くらい)、スマホでやりたければアプリ版もある(確か600円くらい)が、アクションがかなりキツイのでパッドでプレイしたほうがいい。

 

store.steampowered.com

 

・ゲームの流れ

ゲームを始めると、「賢者」と名乗る人物?から、「ザ・ランド」を探索しカードを集め「ブライア」を守れ、という導きを受けるが「なぜカードを集めるのか」「ブライアとはなんだ?」とかは一切説明がない。言い換えると、このゲームは探索してカードを集めることが主目的であり、ゲームの進行に不可欠な要素となっているということだ。

カードは、各地に点在する宝箱に入っているが、宝箱に辿り着くためには大抵の場合パズルを解かなければならない。カードは、フィールドを象徴するキャラクターやオブジェクトの絵柄が描かれていて、メニュー画面からコメント付きで見返すことができる。また、カードを規定の枚数揃えないと開かない扉もある。

そう、見た目やシステムがマザーとかゼルダに似ているがこれはRPGではない。やることほぼアクションゲームかパズルゲームで、プレイヤーキャラクターが強化される要素はほとんど無い。あえて挙げるなら、武器(箒)に付け変えるアタッチメントが3種、進行上取得が不可欠な鍵3つ、またこれも進行上必ず取得することになるジャンプ可能な靴、あとボスを倒したり特定のタイミングでライフ最大値が増える、といった辺りだけである。

パズルは簡単なものから難易度の高いものまで様々で、すべて1画面内で完結する(解ければ障害物が消えるなど、何らかのアクションが発生する)。簡単なのは画面内の敵を倒すだけだったり、スイッチを押すだけだったりなのだが、「あいつをどうやって倒すか」「どうやってあのスイッチを押すか」「ジャンプしても届かないんだけど?」「別の入り口から行かないとスイッチ押せないじゃん」などと、単純ながらも頭を使う仕掛けになっている。

メニュー画面から集めたカードが何枚あるかは分かるが、どのカードが無いかはわからない。一応、ポータル(各フィールドへ飛ぶためのワープ装置)のランプが点いていると「そのフィールドのカードを全て集めた」という証になるので目安になる。

マップはメニュー画面からいつでも確認できて、画面上部にも表示されている。これを頼りに未開のマップを踏破し、あるいはどうしたら行けるのかを考える。基本的にヒントは少なく、「あ、この鍵あればあそこが通れるな」とか「そういえばあのフィールドでまだ探索してない場所があったな」とかを自分で覚えていないとゲームが進まない。中盤からはマップ内に穴が多くなり、ジャンプしないと越せない(穴に落ちてもライフは減らない)。ゲームが進めば進むほど、ダメージを食らう仕掛けも増えてドンドンライフが削られる。ただ、セーブポイントがかなり多いので、リトライ自体は容易に出来る。

 

・戦闘要素

フィールドにはモブがいて行く手を遮っている。また上述したように画面内のモブを一掃することが先に進める条件のギミックも多い。当たるとライフが1減る(それ以上減るモブもいる)。中盤以降、弾を吐くモブが登場する。主人公の武器は箒。箒を当てるとモブが消えて、まれにライフ回復アイテムが出る。この辺はとてもゼルダっぽいがお金とかの要素はないし経験値も入らない。一部のマップでは箒がナイフに勝手に変わる。ナイフをモブに当てると・・・。

序盤のフィールドに、3つの鍵を守るボスが存在する。どれも初見で越せるくらいの強さだが、「分かってても当たってしまう」感じでなかなか絶妙な難易度になっている。鍵ボス以外にも専用BGMの付いたボス戦闘がある、この辺も2〜3リトライはしたと思う。

ラスボスは中々の難易度で、ギミック自体は分かりやすいのだがアクション性が強い。ここは何度やっても途中で詰まってしまったのでプレイ動画を見た。具体的に言うと赤いほうのギミックの3回目から邪魔な煙が2つに増える辺りで、何度やっても炎を誘導する方法が分からなかった。動画を見て「え?その位置で当てられたことになるの!?」とか思って若干理不尽さを感じなくもなかったが、まあクリアはクリアです。

 

・ストーリー

正直クリアしてもよく分からなかった。自転車の子がなぜ応援してくれるのか、賢者はなぜ主人公に警告を与えたのか、そしてブライアは結局何者なのか・・・。順当に想像するなら、これは主人公自身の記憶をベースに作られた夢、あるいは無意識下の世界だ。ブライアも賢者も自らの一部であり、人格が分裂していると言えなくもない。もちろん、正確な情報は何一つゲーム内で語られないので、想像することしかできない。

『ゆめにっき』みたいにゲーム内に台詞が無いわけではないし、むしろ話し掛けるNPCによっては5〜6パターンも変化するものもあるし、カードのコメントもあり、文章量だけ見ればその辺のRPGよりもはるかに多い。にもかかわらず、ストーリーの根幹を喋るのは序盤から登場する「賢者」だけで、他のキャラクターは他愛のない会話文や、ただの悩み事だったり自転車の事だったり、ほとんどゲームの進行に関わらないと言ってもいいものばかり。あと色々な場所に「石碑」があって、これにも様々な文章が刻まれているのだけど、ゲームのヒントを除くとほぼ意味が分からない。分からないというか、分かるけど「それ、このゲームとどんな関係があるの?」という疑問符が浮かぶだけである。つまり抽象的すぎて、「結局何なんだろう・・・」という感想になる。

ちなみにローカライズはデフォルトで日本語が選択でき、かの「undertale」のように気の利いた、ようするにちゃんと日本人に馴染み深い口語表現で翻訳されている点は素晴らしい。ゲームの解像度は低いが、フルスクリーンに画面を拡大してもちゃんと漢字が読めるフォントで作られているのも評価したいポイントのひとつ。ちゃんと読める・読ませてくれるからこそ、台詞に対しては「結局それは何の意味があるの?」という疑問が沸いてしまう。

たぶん作者は意図的に「意味がありそうでまったくゲームに関係無い台詞」を混ぜている気がする。何となく分かった気分にはなるけど、ゲームに関係のありそうな台詞はかなり断片的で、やはり想像することしかできない。

 

 

サウンド

モブを倒したときの「バシュッ」という音がとても8bitだ、もちろんそれ以外のSEもきちんと特徴付けられてて分かりやすい。BGMは8bitではなくどちらかというとSFC時代の空気だがなかなかに良い。アンテとはまた違った感じの不気味さ、清廉さでとても耳に残る。フィールド・Criffの壮大っぽくて少し切ないBGMが一番好みかもしれない。某こじんまりとした町のBGM、というよりサウンドが、演出や配置されたモブも相まってとても怖い。そこでやらなきゃいけないことも悲惨だし・・・。

この「ゲーム的な音」というのはある意味では心地が良い。普段の生活では決して耳に入らない音。なのに、何処かで聞いた気がしてきて懐かしく、また違和感がない。このような、子どもの頃にプレイしたゲームを想起させるようなサウンドを、現代のパッケージゲームで聴く事は既に難しいと言えるだろう。そういう意味では、steamみたいなインディーズゲームが、我々三十路半ばのおじさん達の主戦場になっているような気がしないでもない。まあそれはどうでもいい。

 

・気になった点

ギミックは簡単なものが多くて、どちらかというと絶妙なバランスに仕上げられているのだと思う。ただ、一部気になる点がないわけでもない。

ゲームの序盤から多用されるギミックの一つに、「武器の箒で<ホコリ>を吸い取る→吐き出す」というものがある。ホコリには、衝撃波(当たるとダメージをくらう)をせき止める役割をするとか、水に浮かべると足場に出来るとか、パズルを解くために様々な利用方法が存在する。中でも水路や川を進むためにホコリを足場にするギミックは、ゲーム序盤から終盤にかけて、かなりの頻度で登場する。

するのだが、水場と落ちる穴がセットになると難易度が激増して、ホコリに乗ったまま穴に落ちるとホコリが消えて入り口に戻される。つまり、ホコリに乗って数マップ進んだ先で穴に落ちると、ホコリを水場に吐き出すところからやり直すことになる。これが非常に面倒。

※ゲーム中、水の中を泳ぐことはできない。そのまま水の中を進み続けると・・・10秒ほどで沈んでしまう。沈むとライフが1減ってマップ入り口(入ってきた位置)に戻される。

穴と水場が重なるシーンはそれほど頻度が高くないものの、少ないわけではない、特に数マップ分、パズルをやり直す必要があるとかなりキレそうになる、っていうかキレた。具体的にいうと、48枚目のカードを手に入れる場所のアレ、4マップくらい厳しいギミックが続く所ですね……結局まだそこを越せないままこの誰得レビューを書くことになった、まぁオマケ要素だからいいんだけど、、、

ホコリギミックをこなせるかどうかでこのゲームの評価が変わると言っても差し支えないくらいホコリゲー(?)である。

 

・オマケ要素について

オマケ要素の話。ゲーム終盤に手に入れられる「いれかえアタッチメント」を駆使すると障害物で遮られた道を通ることができたり、通常のゲーム進行では行けないマップにたどり着くことができる。

いれかえ(スワップ)とは、その名の通り、マップチップを入れ換える。マップチップというのは・・・ツクールを触ったことがあれば説明不要だと思うが一応説明すると、例えば縦横16ドットを1キャラクターとしたマップを構成する最小単位をいう。

交換可能なのは1キャラクター分で、自分の足元含めて2つ分の通行可能チップがあれば、連続して入れ替えることで壁の中などを自由に進むことができる。ただし、そうやって進んだ先のマップが通行可能なチップが存在しない場合、切り替え後に四方壁に囲まれてしまうことになる。そして前のマップに戻ることはできるが、戻った先も壁だったりすると、ハマる。いわゆる*いしのなかにいる*、である。

こうなるとポータルエリアに戻るかタイトル画面に戻るかしかできなくなるので、セーブポイントから遠い所でハマると悲惨。というか、スワップで行ける隠しエリアは、そうやって試行錯誤しながら進むことになるのでかなり博打に近いゲームをやらざるをえなくなる。

 

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・さいごに

8ビットというか16ビットというか、その雰囲気を感じて、また人の薦めもあって何となくやってみようという動機から始まって、画面切り替え方式に懐かしさを覚え、ちょっと手こずりながらもギミックを解いて進めるのはとても楽しく、概ね満足したと言える。攻略サイト・動画に頼ったのは、ラスボスと、35枚目以降のカードと、いくつかのシークレットアイテムと、あとなんかあったかな、まあここまでやって投げるよりは良いだろうと思って、なりふり構わずにプレイしました。

ただ進めるにつれてかなりアクションがシビアなゲームであることに気が付いて、あまり自分向きのゲームじゃなかったかなというのは思った。

不思議で不気味な世界観が好みな人、SFCくらいの解像度のゲームに抵抗がない人、マップ探索を楽しめる人あたりにおすすめ。万人向けではないけど、リアルなゲームに飽きたらどうぞ。

 

ちなみに、Anodyne自体は相当にマイナーなゲームらしく(というかインディーズなのだから当たり前だけど)、攻略情報は日本語ではブログがいくつかヒットする程度である。そして難しいところは、ギミックの情報を得たところで実際に操作してクリアしなければカードは手に入らない、という点に尽きる。

いざとなればsteamに完全ガイドが存在する(英語だけど)。また、これも英語だけど一通りプレイしている動画がつべにあるから、一時停止しながら同時にプレイすれば積むことはないはず。邪道かもしれないけど。

攻略本見ながらゲームをやってもいいんだ、というのは大人になってからようやく許すことにしました。うん、それはどうでもいいな。

長文失礼しました。